七神〜私と君で咲かす花〜
私はしばらく、その歪んだ空間を“信じられない”という目で見つめた。
「…もう、勘弁してよ…」
頭、いっぱいいっぱいなんだから。
そんなことを思いながらも、ゆっくりと植木のところへ向かう。
普段の私なら、きっと、腰を抜かすくらいに驚いているだろう。
でも、今日1日のことを考えると、あり得ないこともない、と思ってしまう。
だから、こんなものを見たって、そこまで驚かないんだろう。
「……」
空間の前に立つと、また、しばらく空間を見つめた。
今、私の中にあるのは、好奇心だけ。
そっと、空間に手を伸ばす。
空間に手が触れると、空間は水のように静かに波立ち、さらに手を空間に差し込むと、手先がどんどん見えなくなっていく。
「…いける」
私は空間を掻き分けるようにして、思い切り不思議な空間へと入り込んだ。
「…っ」