七神〜私と君で咲かす花〜
第二章〜目覚める力〜
妖化
「どうしよう……」
何回もこの言葉を呟きながら、暗い夜道を歩く。
千尋の冗談を真に受けて、その恥辱で月神たちのもとを飛び出したものの、初めて来たこの世界の地図なんて、分かるわけもなくて。
「道に、迷った…」
辺りを見渡す。
月神のもとから、どれだけ離れただろうか。
町中の外れに来てしまったらしく、そばにはもう、木々が迫っている。
最初、むちゃくちゃに走り回ったため、自分がどうやってここに来たのかも分からない。
三日月は、そんな私を馬鹿にして笑っているようにも見えた。
「月神ぃ、千尋ぉ、美春ぅ……」
3人の名前を呼ぶ力ない声は、虚しく夜空へと消えていった。
私は、自分の頬を両手でパチンと軽く叩いた。
「弱音吐いたって何も変わんない!」
そう言い聞かせ、気持ちを切り替える。