七神〜私と君で咲かす花〜
「……ふざけんな…」
後ろから、ものすごく低い声が聞こえた。
「どいつもこいつもなめやがって…!」
「琥珀っ!!」
私の後ろを見ながら脅えた声を挙げた美春。
振り返ると、小田が拳を挙げて殴り掛かってきた。
「っ!!? ちょっ…!!」
ここでまさかのバイオレンス!?
避けられない…!
どうしようもできず、目を閉じる。
「キャァァア!!」
………………。
どこからともなく響いた女子の悲鳴とは裏腹に、痛みなど全く感じない。
どういうこと?
私は恐る恐る閉じていた目を開ける。
そこには小田の隣に立つ、ひとりの男子の後ろ姿があった。
……誰?
その男子は、拳を作って上に挙げたままの小田の右手首を、しっかりと掴んでいた。
「タイマンの途中だぞ。邪魔すんじゃねーよ、月神」