七神〜私と君で咲かす花〜
不思議な力―颯side―
完全に押されている。
息が上がっている俺と、妖化の余裕そうな顔を見れば誰でも分かることだ。
あいつがここを去ってから、どれくらい経っただろうか。
袖で、額の汗を拭う。
……『琥珀!!』
俺に、怒鳴るように名前を呼ばれたときの、彼女の表情が目に焼き付いている。
辛そうな顔をしていた。
でも…あれでよかったんだ。
そう言い聞かせ、あとを追いたい気持ちを押さえ込む。
あいつの性格からして、おとなしく言うことを聞くことはなかっただろう。
ああでもしないとあいつは…
「……何をよそ見している」
「っ!!?」
いつの間にか妖化が接近していて、持っていた鎌を振り下ろす。
俺はそれをギリギリで避けた。
と、思いきや。
頬に、赤い線のようなものができる。