七神〜私と君で咲かす花〜
目を疑った。
この世界に似合わないパーカー。
風になびく、サラサラとした栗色の長い髪。
そこに居たのは、佐野宮だった。
「月神…っ」
弱々しく言いながら、傷だらけの俺を見て、困ったように眉を下げる。
俺は思い切り怒鳴った。
「バカか!! なんで戻ってきた!?」
佐野宮が、ビクッと肩を震わせる。
構わず俺は言い続けた。
「今のお前は役立たずでしかないんだぞ!? 戻ってどうする!!」
それにありえない。
結界には、結界を作った者が指定した人物しか入ることはできない。
たとえ、結界の範囲に他者が居たとしても。
その上、この結界は中が見えないようにしてあるため、外から見えるのはただの荒れ地だけで、俺たちは見えないはずだ。
なのに。
なのに、何故あいつは結界の中に入れた―――?