七神〜私と君で咲かす花〜
素直に思った。
ぷるぷると震える拳を、顔の横まで上げた私を見て、慌てて千尋が間に入った。
「はいはい琥珀、キレないキレない」
「大丈夫、キレてるのはこの拳だけだから」
「じゃあ、その拳、納めて?」
「まあまあ」となだめる千尋に思い切り「イヤだ!!」と叫んだ。
「アホって言ったんだよ!?アホって!!関係ないことだよ、今は!」
私が詰め寄ると、千尋は「はいはい」と、また私をなだめる。
「……おい…………!」
私達の会話の中に、月神や千尋のものではない声が加わった。
声がしたほうを見れば、メンチを切らした妖化が、眉間にシワを寄せながら此方を睨んでいる。
その瞬間、3人は一斉に同じことを思っただろう。
“ヤバい…忘れてた”と。
私と千尋は妖化に刀を向けた。