七神〜私と君で咲かす花〜
しかし、「やってやる」という気持ちはあるのに、刀を握る両手が小刻みに震えている。
「琥珀……?」
固まる私に、千尋が「大丈夫?」と声を掛けた。
私はそれに「武者震いだよ」と笑顔で答えるが、手の震えは治まることを知らない。
どうしよう……怖い…。
「…琥珀」
不意に、月神が私を、下の名前で呼んだ。
そういえば……
『琥珀……!』
私が、一度ここを離れるときも、一回呼んだっけ。
月神は、優しい表情で私を見つめる。
『大丈夫だ。怖れることはねえよ。心配すんな』
声に出していないけど、そう、言っているように感じた。
気持ちも、一気に軽くなったように思えた。
手の震えもなくなっている。
うん、大丈夫。
「…やってみようよ、千尋」