ヘタレぼりゅーしょん
「ほんと、春田ってへんなやつだよな」
「槙野みたいなヘタレじゃないだけマシだっつーの」
ー槙野 有樹
究極のヘタレ男
私の好きな人。
なんでこんな奴にときめいたりするのか分からない。自分が自分で無いみたい。
「お前…それを言うな。だから彼氏が出来ないんだよ」
「なっ…」
短気ですぐに手が出てしまう由紀。
口だけは達者なくせにビビりの有樹。
相性はきっと最悪だ。
「槙野のばか!」
今日も私はカバンで槙野の背中を殴って逃げる。
「いってー!!」
こんな女、槙野が好きになるはずがない。素直になれずに、構ってほしいのにちょっかいや意地悪なことしか言えない私を。
走って教室にはいると、なんとか1時間目の本令に間に合った。
あいつは初めての遅刻にして1時間目にも間に合わなかった。
ざまあみろ!
じゃなくて…
「またやっちゃった…」
それから昼休みまで、授業始まってからやってきた槙野と目を合わすこともなく、テンションは最悪だった。