ヘタレぼりゅーしょん
「なんであんたが…っ」



「説明は学校でするから。もう出るぞ」




ノイズ混じりの変な音楽が鳴った。



槙野は私の手を離し.電車に押し戻してくれた。




「じゃあな」







槙野。



槙野だ。






つかまれたところが熱い。


熱に浮かされて.どうすればいいか分からない。





「…まきの」





私が頭突きした部分であろうアゴをさすりながら.苦笑いでこっちを見ている。




私だけを乗せた電車の扉が閉まる。






「すきだよ…




槙野、すきだよ…」




聞こえない、と言うように耳に手を当てている。





「好きなんだよ.ばか野郎」






届かないのは分かってる。

分かってるから切なくて.心に深く沈んでいく。
< 33 / 37 >

この作品をシェア

pagetop