ヘタレぼりゅーしょん
「確かにあんたはバカだね」


絶世の美人のくせに毒舌な友人、咲良の的を射た発言に、更に落ち込みを増す。



「あいつ…頭くるけどさ。

私がカバン振り上げたときのあの怯えた小動物のような目と言ったら!

ちょっと萌えてしまったわけだよ、くそう」



箸を握りしめ、弁当のからあげに突き刺してみる。

「私は肉食獣、槙野は草食獣ってところかな…。私ばっかり追いかけて、あいつは猪突猛進な私に怯えて…さ」


「うまいこと言うね。だけどさ由紀、おびえられてる時点でアウトでしょ」


またもや咲良は気にしていることをズバッと。



「もういい加減槙野君のこと…ケリ付けたら?

性に合わないくせに1年も何もせずに片思いなんかして。

告るなら告るでさっさと振られてきなさいよ」



「うん…そうなんだけどさ」


こんな意気地無しなんかじゃなかったはずなのにな。

屋上に吹き寄せる風は少し冷たくて、上気した頬を冷ますには丁度いい。
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