ヘタレぼりゅーしょん
「由紀…おい、由紀!」
5時間目の現代文。授業は出ていても意識は授業に参加していない。
誰だよ私を現実に引きずり戻そうとする奴は…
「由紀、当てられてるぞ」
え?
「春田!続き読め」
「…ん?あ、はい」
とりあえず席を立ったけど、今どこのページをやっているのかさっぱりわからない。
「45ページ」
「ああ…」
さっきから私を起こそうとしてくれてたのは、隣の席の克也だったようだ。
指定された部分を読み終わると、私よりも安堵した表情でピースしてきた。
こいつを見ると、昔飼ってた犬のシロを思い出す。
「な!今日は俺役に立っただろ。なんかおごれよ」
「あんたがおごってよ」
休憩時間にはいったらコレだ。
小学校の時に一度殴り合いのケンカしてボロボロにしてやってから、なにかと私を慕ってくる。
今ケンカしたら克也の方が強いだろうけど…
「由紀?」
ふと彼が視界に入る。