ヘタレぼりゅーしょん
私の席の斜め前。
次の授業の予習をしているのだろうか。
白く細い指でシャープペンシルを持ち、少し眠そうに目を何度もしばたかせている。
あんな弱々しい体つきじゃ、克也はおろか私すら倒せないんじゃないだろうか。
「由紀ってまだあいつのこと…?」
「え!?ちょ、聞こえるじゃん」
身を乗り出して聞いてきた克也の頭を軽くはたく。
「お前らしくないな。
いじいじしてるの一番嫌いなくせに」
「そうよ。今からでも私が言ってきてあげようか?」
いつの間にか咲良も加わり、2人して責めてくる…
「もー!私の勝手でしょ。このままで良いって言ったら良いの!!」
このまま。
ちょっかいかけては怒られたり、からかったり、そんな友達のままで。
もしかしたら、今日のケンカのせいで口利かなくなったままで。
「もう寝る!」
「由紀ー…次当てられても知らないぞ」
知らないもんね。
今度こそ夢の中へ。
どうか甘い夢じゃありませんように。現実との差が苦しくて、目を覚ました後に泣いてしまいそうだから。