Place of the fate〜運命の場所〜
「授業中、困ってたら助けるのも、帰る準備してるの待って一緒に帰るのも、全部歌菜だからだよ」
その言葉に、あたしは数日前のことを思い出す。
─────なんだかんだ言って薫は優しいよね
「だって、薫は誰にでも、」
「誰にでも優しくするわけないじゃん。好きな奴にしか優しくはしないよ」
「でも、薫好きな人いるって」
その言葉を聞き、はぁ、と薫はため息を吐いた。
「どんだけ鈍感なの・・・・・。俺歌菜のことが好きだよ」
薫の言葉に驚きを隠せず黙り込んでいると、
「俺、歌菜が思ってるほど優しくないよ。本当にやさしい奴なら、彼氏と幸せにとか、身を引いたりするだろうけど、俺そんなこと全然考えてないよ。むしろ別れればいいのにって思ってる」
いつもとは違う雰囲気の薫に、あたしは何も言い返すことができない。
「なぁ、俺のこともちゃんと考えてよ。クラスのやつの一人とか、友達とかじゃなくて、一人の男として」
そう言って薫はあたしから離れると、自転車にまたがり帰っていった。