My life is going on
2.雪のこころ ―0〜11歳―
「雪の降り積もる真っ白な日だった。」


私がこの世に生まれてきた日のことを、
母はそう言った。



その雪のように、
美しく真っ白なこころで育ってほしい―
そう願ったに違いない。


ひとはみな、
真っ白なこころでこの世に生まれて来るのだろう。


数々のできごと、
出逢いや別れを繰り返し、
自分なりの色を付けて行く。



少なくとも
幼いころに付けられたその色は、
どんな色で塗り替えようとしても―
どこからか滲み出てしまう…。


そんなことを、いつも考える。








「おかあさん…」


台所で洗いものをする母を見上げた。


「……」


「おかあさん…」


「あっちへ行ってなさい。」



母の頬を伝う涙―


幼い私には、
それ以上かけられる言葉は何もなかった。



「……」


私は、母の存在を背中に感じながら―
寒い寒い廊下を歩き、居間へと向かった。



「じぃちゃん、一緒にお風呂入ろう。」


「おぅ…」


祖父は、
グラスに残った日本酒を一気に飲み干した。
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