Always
ガラスの間――僕が自分の部屋よりも、この大きな屋敷の中で気に入っている場所だ。

「キレイ…」

芹沢さんは呟いて、キョロキョロと周りを見回している。

「この部屋は、夜が1番キレイなんです」

月明かりに照らされて、部屋の中のガラスたちがキラキラと輝き出す。

ガラスだから、星もキラキラと輝いてよく見える。

子供の頃は恵と一緒にこの部屋でよく天体観測をしたものだ。

懐かしい思い出に浸っていたら、
「――おっ…」

クイッと手を引っ張られた。

「あっ…」

芹沢さんが驚いた。

「あっ…」

思い出して、僕はそれまで繋いでいた彼女の手を離した。
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