Always
そう言った彼女に、僕は誰もこの場所へ連れてきたことがなかったことを思い出した。

幼い頃からの親友である恵は別として。

どうして芹沢さんをここへ連れて行こうと思ったのだろう?

「――私は…」

芹沢さんが何かを言おうと口を開いた。

けど、その口はすぐに閉じられた。

「――どうか、しましたか?」

そう聞いた僕に、
「何でもないです…」

芹沢さんは首を横に振って、笑った。

何を彼女は言おうとしていたのだろう?

そう聞きたかったけど、やめた。
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