Always
いや、気づかない方がいいかも知れない。

そう思って、僕は首を横に振った。

「先生?」

芹沢さんが不思議そうに呼んだ。

「ああ、すみません。

ちょっと疲れてしまったみたいです」

僕は目を細めて笑ったふりをして、ごまかした。

「そうですか…」

芹沢さんは呟くように言った。

僕と彼女の関係は、大学教授と教え子…のはずだ。

なのに今は、どうなのだろう?

8月のあの日に一線を越えてしまった今、どう表現すればいいのだろう?
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