Always
「ハハハ、先に風吾とおしゃべりをしていました」

英吾兄さんに2人でいるところを見つかって、慎吾兄さんはいたずらっ子のように舌を出した。

「先に風吾に会ったのは俺の方だぞ?」

英吾兄さんは僕の隣に腰を下ろした。

僕は英吾兄さんと慎吾兄さんに挟まれた。

「いやいや、これは先にしゃべったもの勝ちだって!」

「俺、そんなルール知らないぞ?」

僕を挟んで、2人はあれやこれやと言い始める。

僕が兄さんたちの間にいて、兄さんたちは間にいる僕を邪魔に思わないのだろうか?

右に左に、左に右にと交わされる兄たちの会話を、僕はただ黙って聞いていた。

――やっぱり、帰らなきゃよかった…。

そんな後悔を胸に抱きながら。
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