Always
その日の夕飯はしゃぶしゃぶだった。

「久しぶりだなあ、家族みんなで鍋を囲むのって」

父親は嬉しそうに言いながら、小皿にごまだれを注いだ。

「風吾はポン酢だったな」

英吾兄さんがポン酢を僕に渡してくれた。

僕は小皿にポン酢を注いだ。

楽しそうにおしゃべりをする彼らとは対照的に、僕は黙々と食事をしていた。

「そう言えば、恵くんの結婚式が決まったんだって?」

慎吾兄さんが思い出したと言うように僕に話しかけた。

「はい、決まったそうです」

それまで食事をしていた僕は突然の話題に戸惑いながらも答えた。
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