Always
やっぱり、帰らなきゃよかった。

その後悔が僕を襲って、惨めになった。

倒れるように、僕はベッドに横になった。

目を閉じると、まぶたに浮かんだのは芹沢さんの顔だった。

…何で、だろうな?

どうして、今彼女に会いたくて会いたくて仕方がないんだろう?

慎吾兄さんが芹沢さんの名前を口に出したせいで、彼女に会いたくなってしまった。

芹沢さんは今、どうしているんだろう…?


コンコン…と、控えめにたたくドアの音で、僕は自分が眠っていたことに気づいた。

「――はい…」

寝起きのせいもあってか、返事した僕の声は呟くように、そして少しだけしゃがれていた。

「風吾、入るぞ」

そう言って部屋に入ってきたのは、英吾兄さんと慎吾兄さんだった。
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