Always
英吾兄さんの手にはお盆が乗っていて、そこに2つのおにぎりとさっきのしゃぶしゃぶの残りがあった。

「おいおい、電気くらいつけろよ」

そう言いながら慎吾兄さんは電気をつけた。

それまで暗かった部屋が明るくなった。

部屋の明かりが寝起きの目にはとてもまぶしくて、僕は目を細めた。

英吾兄さんはお盆を僕の机のうえに置くと、そこから椅子をひいて腰を下ろした。

「さっきは、悪かったな」

そう言って慎吾兄さんは僕の隣に腰を下ろした。

「だけど、心配してたんだ。

お前は昔から協調性がないとか、根暗だとかって周りから散々言われて…恵くん以外の友達もいなかったし、心配してたんだ。

お前がこのまま一生1人で過ごすのかと思うと」

悲しそうに言った慎吾兄さんに、僕は目を伏せた。
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