Always
「俺たち…正直言うと、風吾がうらやましかったんだ」

呟くように言った英吾兄さんに、
「――えっ…?」

僕は顔をあげた。

「周りから優秀だとか何とか言われて、毎日のように期待やプレッシャーを背負われて…もう俺たちのことなんか放って置いて欲しいって思った時期もあった。

特に俺は長男で、絶対に『葉月出版社』を継がなきゃいけないって言う使命もあって…。

期待やプレッシャーに縁がなくて、いつも一匹狼で…そのうえ好きなことを好きなだけやれる風吾をうらやましいって思ってた。

おまけにその好きなことを仕事にしたから風吾はうらやましいなって、いつも慎吾と話してた」

自嘲気味に言う英吾兄さんに、僕は何を返せばいいのかわからなかった。
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