Always
彼女に名前を呼ばれたのと同時に、彼女の両手が僕の首の後ろに回った。

えっ…?

何…?

僕は、自分が今置かれている状況がわからなかった。

「“教えてあげましょうか?”って言う約束、忘れていませんよね?」

厚くも薄くもないベビーピンクの唇が、形を変えながら動く。

恋も、セックスも、数えるほどしかしていない。

それもそのはずだ。

僕は、傷つくのが嫌いな臆病者なのだから。

傷つくのが嫌いだから、今の今まで逃げてきたのだ。

学生時代は部活にも入っていなければ、グループも作らなければ、そこに入らなかった。

友人と言えば…幼なじみである恵1人しかいない。
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