Always
「惨敗だったよ」

七緒はやれやれと言うように、両手をあげた。

「メグが好きだって、そう言って振られたよ…」

最後のところは、声が震えていた。

「仕方ない、よな…。

俺じゃ、メグの代わりには…なれないんだもん…。

仕方ない、よな…」

七緒の頬を、涙が伝った。

僕は読んでいた本を机のうえに置くと、七緒に歩み寄った。

癖っ毛の黒髪に手を伸ばし、彼の頭をなでてやる。

「ナナはえらいよ、よくやった」

ボロボロと、七緒の目から大粒の涙がこぼれ出す。
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