Always
そう言えば…と、僕は思い出した。

僕らが一線を越えてしまった8月のあの日も、雨が降っていた。

自分の気持ちを言って、彼女の気持ちを聞いたバレンタインデーの今日も、雨が降っていた。

始まりは、いつも雨――そんな言葉を、昔どこかで聞いたような気がする。

そんなウソみたいなことがある訳がないなんてバカにしていたけど、本当にそんなことが今起こるなんてなあ。

雨で始まって、また雨で始まるなんて。

僕らはよっぽど、雨に縁があるみたいだ。

「――あ…!」

芹沢さんの声に視線を向けると、彼女も窓の外を見ていたようだ。

「どうかしました?」

そう聞いた僕に芹沢さんは窓のそばに歩み寄った。

それから指を差して、
「虹!

虹が出ています!」
と、叫ぶように言った。
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