Always
今までこんなことがあっただろうか?

キッチンに一緒に並んで、一緒にコーヒーの準備をする。

時々他愛もない世間話を交えながら、コーヒーができるのを待つ。

一緒にいる人は、好きな人。

いわゆる、“彼氏”とか“恋人”と言うヤツだ。

「芹沢さん、コーヒーができましたよ」

先生がマグカップを差し出した。

「ありがとうございます」

彼の手からマグカップを受け取ろうとしたら、指先が触れた。

ドキッ…と鳴った私の心臓と、ちょっと驚いたような先生の顔。

少し前までは戸惑って、逃げ出していた。

でも今は、
「――フフフ…」

指先が触れること自体もすごく嬉しくて、先生と一緒に笑ってしまう。
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