Always
風吾さんは嬉しいと言うように微笑んで、
「萌さん」

私の名前を呼んだ。

「風吾さん」

私が名前を呼んだら、
「萌さん」

風吾さんが名前を呼んだ。

「風吾さん」

「萌さん」

お互いの名前を呼びあうと、私たちは笑いあった。

「そうだ、忘れるところでした」

風吾さんは思い出したように言うと、スラックスのポケットから何かを出した。

2枚の映画のチケットだった。

「風吾さん、これ…」

風吾さんが差し出したチケットは、この間公開されたコメディ映画のチケットである。
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