Always
「きゃっ!」

ドンと、誰かと肩がぶつかって、私の手からかごが落ちた。

「ああ、すみません」

「いえ、私の方こそすみません」

私は落としたかごを拾うと、その場から去ろうとした。

「あれ?」

私と肩がぶつかった男の人、このスーパーの制服であるエプロンと帽子を身につけていることから従業員かも知れない。

「…あの、何か?」

物珍しそうに私の顔を見つめている男に、なれていない私は困った。

私の顔に何かついているのだろうか?

だけど、この男の声…どこかで聞いたような、聞いていないような…。

知り合い…って言ってもいないに等しいけど、似ているだけかも知れない。

そう思いながら本当にその場から去ろうとした時、
「――芹沢か?」
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