Always
“あの人”と、一緒だ。

私も“あの人”の血が流れているんだと言うことを、嫌でも知らされた。

私と父親を捨てた、“あの人”。

“あの人”のせいで、私はこんなにも臆病者になってしまったんだ。


私を生んだ母がいなくなったのは、3歳の時だった。

「お母さん、どこへ行ったの?」

そう尋ねた私に父親は震える唇を開いた。

「お母さんはね、お星様になってしまったんだよ」

お星様――父親はそんなことを言ったけど、幼かった私には充分理解できた。

母は、亡くなった。

この世から去ってしまった。

まだ幼かった私は、その事実を理解した。

まだ幼かったから、その事実を信じることができた。
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