Always
萌さんは笑うと、
「風吾さんの美味しい顔を見るのが私の楽しみですから、風吾さんは待っているだけで充分です」
と、言った。

「でも、待っているって言うのも何だか…」

「料理は女の仕事…って言ったら、ちょっとおかしいですかね?」

萌さんは苦笑いをした。

「じゃあ、みじん切りのやり方だけ教えてもらってもいいですか?」

そう言った僕に、
「教えるほど上手にはなっていないんですけど…」

萌さんは困ったと言うように呟いた。

「でもこんなに細かいじゃないですか?」

すでにみじん切りになっている玉ねぎを指差した僕に、
「大きい部分もありますよ」

萌さんは困ったように笑った。

彼女の言う通り、よく見ると大きな部分もあった。
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