Always
「まだまだ修業が足りないので、教えるのは…いつになるのかな?」

萌さんは考えるように頬に手を当てた。

考える時に頬に手を当てるそれは、彼女の癖だ。

つきあい始めた時にわかった萌さんの癖だ。

「いつでも待ちますよ」

僕は言った。

「あなたが僕の先生になるその日がくるのを楽しみに待っています」

続けてそう言った僕に、萌さんは頬を紅くさせる。

僕は彼女の手に自分の手を重ねた。

ばんそうこうがついた人差し指をなでて、中指をなでて、薬指に触れた。

「風吾さん」

萌さんが僕の名前を呼んだ。
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