Always
母親が死んだ――その事実が違うことを知ったのは、私が中学2年生の時だった。

その日は大好きな作家の新作の発売日だった。

学校の帰り道、スキップをしながら本屋へ向かっていた時のことだった。

「――あれ…?」

その光景に目を疑って、私はそれまでスキップをしていた足を止めた。

蛍光カラーの文字がいかにもいかがわしいホテル。

そこから男の人に肩を抱かれて出てきたのは、
「――お母、さん…?」

母親、だった。

驚きのあまり呟いた私の声は、
「――萌ちゃん…?」

母親の耳に、しっかりと入っていた。

派手過ぎる化粧に、派手過ぎる髪型。

原色の派手過ぎるドレスは、嫌でも母親の今の仕事を知らされた。
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