Always
…用事があるって、さっき言ったんだけど。

阿久津くんに何を言っても、彼の耳には入らないみたいだ。

放って置いて欲しいって言っても話しかけてくるし、用事があるって言ってもこうして通せんぼしてくるし…。

阿久津くんに何を言ってもムダだ。

そう思った私は阿久津くんの横を通り過ぎようとした。

「芹沢」

通り過ぎようとした私の腕を阿久津くんがつかんできた。

「何するのよ!?」

私はつかんでいる阿久津くんの手を振り払おうとした。

だけど女の私じゃ、男である彼の手を振り払うことができない。

「急いでるから離して!」

「急いでるからって何だよ、急いでるって」

振り払おうとする私と離そうとしない阿久津くん。

第3者から見たら、ケンカ中のカップルのように見えるかも知れない。

「――萌さん?」
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