Always
「知り合い?」

母親の肩を抱いている、白いスーツに派手なシャツをきた男が私を一瞥すると母親に問いかける。

母親は男に向かって笑いかけると、
「ちょっと先行っててくれない?

いつものところで待ってて」
と、言った。

どう言うことなの…?

母親と近くの喫茶店に入った。

のん気な顔してコーヒーを飲む母親とは対照的に、私は目の前にあるオレンジジュースに口をつけることができなかった。

――お母さんは、死んだんじゃなかったの?

なのに、生きてるってどう言うことなの?

聞きたいことはいっぱいある。

言いたいことはいっぱいある。

なのに、それを口に出すことができない。

臆病者だ。
< 25 / 303 >

この作品をシェア

pagetop