Always
父親は懺悔をするように、ポツリポツリと話し始めた。

「実は…お母さんは生きているんだ。

死んだなんてウソをついたけど、本当は生きているんだ。

まだ幼いお前に離婚したって言えなかったから、お母さんは死んだってウソをついた」

「そう…」

私は呟くように返事をした。

「お母さんから逃げ続けた結果、萌が3歳になった頃だった。

夜遅くに仕事から帰ると、テーブルのうえに離婚届と手紙が置いてあった。

手紙には、“新しい男と生活を始めるから出て行く”――ただそれだけが書いてあった」

父親は洟をすすった。
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