Always
「――当然の、報いだと思ったよ…。

家のことも顧みようとしなかった、当然の結果だった…」

父親は洟をすすりながら、呟くように言った。

「その後で…お母さんは、心療内科に通っていたことがわかったんだ。

子育てと家事で追いつめられて、身も心もボロボロになって、睡眠薬に頼らなければ眠ることさえできなくなって…。

担当医の男と関係を持ったこと、その人と一緒に駆け落ちしたことも、全部知った…」

私は父親にティッシュの箱を差し出した。

父親はティッシュを何枚か取り出すと、鼻をかんだ。

父親の目は、ウサギのように真っ赤だった。

「――萌…許してくれ…。

お前からお母さんを奪ったのは、お父さんだ…。

お父さんが家庭を顧みて、お母さんのことをわかっていて…何より、お母さんの手を離さなければ…」

父親は泣きながら、言った。
< 277 / 303 >

この作品をシェア

pagetop