Always
「あなたにはまだわからないかも知れないけど…女は好きな人と一緒に生きたいと思った時、大事なものを投げ出してまでも、その人と一緒になりたいと思う生き物なの」

何でもないと言うように、母親が言った。

それを言うことに彼女は罪悪感もなければ、抵抗もなかったのだろうか?

「――わかりたくなんかない!」

叫ぶように言った自分の声と水のかかった音に、驚いた。

いつの間にか手に持っていた、オレンジジュースの入ったグラス。

びしょ濡れの母親を見たその瞬間、私は手の中のグラスを投げ出した。

ガチャンと、グラスのわれる音がした。

私、今何を…!?

自分がカッとなって、母親に向かってオレンジジュースをかけたことを知らされた。

ザワザワと騒ぎ出す店内に、店員が何事かと言うようにその場に顔を出す。
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