Always
クールとか、一匹狼とか…私、本当はそんなんじゃないのにな。

私は、高校時代に心のどこかで阿久津くんに憧れていたことに気づいた。

明るくて、面倒見がよくて、1人でいる私のこともいつも気にかけてくれて…そんな彼を迷惑だと思っていた反面、憧れていたんだと思った。

「でも、芹沢は迷惑だったよな?

俺のせいで1度は別れかけたうえに、めちゃくちゃになったって怒鳴られたし、謝罪だって聞いてくれなかったし…本当に、悪かった」

阿久津くんはもう1度頭を下げた。

「――もう、いいよ…」

呟くように言った私の言葉が聞こえたと言うように、阿久津くんが頭をあげた。

「それだけで、もう充分だから。

ありがとう…それから、私もごめんなさい。

怒鳴ったりして、ごめんなさい」

最初から話をしていれば、何かが変わったかも知れない。
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