Always
電話と言う便利なものの存在に、私は感謝した。

目の前にエリーさんがいたら、私の冷めた顔が彼女にバレていたことだろう。

彼女の話を、冷めた顔で聞いていたことだろう。

「ご飯、ありがとうございました。

おやすみなさい」

私は早口でそう言うと、スマートフォンを切った。

苦手だ。

優しさと言い、愛情と言い、明るさと言い…苦手だ。

ひまわりのようなエリーさんの明るさは、彼岸花の私には苦手以外何も浮かばない。

むしろ、彼女には恐怖も抱いていると言ってもいいかも知れない。


エリーさんと出会ったのは、7年前の高校2年生の時だった。

その日、父親は珍しく早く帰ってきた。

「お父さん、再婚しようと思うんだ」

久しぶりの一緒の晩ご飯に、父親が言った。
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