Always
突然の父親の再婚宣言に、箸が手から落ちそうになった。

「――えっ…?」

そう言った私の声は、風邪でもひいているのかと思うくらいかすれていた。

「再婚って…お父さん、つきあっている人がいるの?」

そんなこと、一言も言ってなかったじゃないの。

父親はうつむくように目を伏せて、
「実は、2年前から交際している女性がいるんだ。

お父さんの取引先の人でね、ずっと昔に旦那さんを亡くしてから幼い息子さんを1人で育てているんだって。

それで親しくなって、何回か食事もして、それで結婚しようって」
と、呟くように話を始めた。

私はご飯を食べている手を止めて、父親の話に耳を傾けることしかできなかった。

「もちろん、萌の意見もちゃんと聞くよ。

萌だって、いきなりこんな話をされて…」

「いいよ」

父親の話をさえぎるように、私は言った。
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