Always
私は、今すぐこの場から逃げ出したいと思った。

ひまわりのように明るいエリーさんと彼岸花のように嫌われている私。

これから過ごすであろう惨めな生活に、恐怖を抱いた。

「モエチャン、ですか?」

ソプラノの声が聞こえて視線を向けると、さっきまで父親と慶太郎くんと話をしていたエリーさんが私の前にいた。

「――え…ああ、はい…」

震える声でうなずいた私に、
「初めまして、エリーです!」

エリーさんはひまわりのような笑顔を見せて、私を抱きしめた。

いや、こう言う場合は“ハグ”と言った方が正しいかも知れない。

どちらにしろ、人から抱きしめられる状況になれていないので…私はどうすればいいのかわからない。

――外国人って、みんなこうなの…?

冷静にそんなことを思っている自分にも戸惑った。

エリーさんは気が済むまで固まっている私を抱きしめた後、1回躰を離して私を見つめた。
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