Always
ここに、僕の居場所なんてない。

居場所がないから、早く帰りたい。

芹沢さんの元へ、早く戻りたい。

「ところで風吾、あなた今年は帰ってくるの?」

母親が思い出したと言うように言った。

「えっ…」

それはつまり、年末に実家へ帰ってこいと言う意味なんだと思った。

「あー、そうですね…」

僕は目を細めて、笑っているふりをしながら答える。

目を細めて笑っているふりをする――いつからこんな癖を身につけてしまったのだろう?

「なあ、風吾。

今年はちゃんと帰ってきてくれよ」

慎吾兄さんがポンと僕の肩をたたいた。
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