ハリネズミの恋
Chapter1*初めての失恋*
春は出会いと別れの季節だと、一体誰が言ったのだろうか?

温かい太陽の日差しに桜の花びらがフワリフワリと舞っている、4月の初め。

その日、俺の初恋の人は真っ白なウエディングドレスに身を包んで笑っていた。

「おめでとう!」

周りからあがる祝福の声に、彼女は笑顔で手を振って答えていた。

――おめでとう、マーサ

心の中で初恋の人に声をかけると、ライスシャワーをかけた。


「最初はどうなることかと思ったけど、何だかんだで結婚したね」

ウーロン茶片手にそう言ったのは、フーゴこと葉月風吾(ハヅキフウゴ)だ。

俺の家庭教師で、マーサこと兼松真麻(カネマツマアサ)の新郎・メグこと椙山恵(スギヤマメグミ)の幼なじみだ。

ちなみにメグと俺はいとこ同士だったりする。
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