ハリネズミの恋
「えっ…」

針井はハッとしたと言うように自分の頬に手を当てた。

もしかして、
「無意識、だった?」

俺が聞くと、針井は恥ずかしそうに目を伏せた。

「わたし…人見知りって言うか、コミュ障(コミュニケーション障害)と言うか…」

針井はブツブツと呟くように言った。

「その…人に対してどうすればいいのかとか、何を話せばいいのかよくわからなくて…。

…わたし、何が言いたいんだろ」

針井はもう言いたくないと言うように口を閉じた。

「別に、無理して話をしなくてもいいんじゃないのか?」

俺は針井の顔を覗き込んだ。
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