ハリネズミの恋
覗き込むと、フワリとお菓子のような甘い香り。

針井はどう言うことだと言いたそうに首を傾げる。

「たどたどしくても自分の言葉でちゃんと話せばいい訳なんだから、無理して考えて話す必要はないと思う」

って…俺は俺で何を言ってるんだ?

さっき針井の前で墓穴を掘ったばかりだろうと言う話なのに。

「本当?」

針井が聞いてくる。

「本当…って言うか、もう平気になってるじゃん」

「それは霧ヶ峰くんだから…」

針井は言いたくないと言うようにプイッと顔を横に向けた。

「俺だから、何?」

続きを促すように聞いた俺に、
「霧ヶ峰くんはクラスメイトだし、話しかけやすくなったと言うか…」

針井は横に視線を向けたまま答えた。
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