ハリネズミの恋
これは、
「大変だけど、エスカレーターで行った方がいいのかもね」

針井も同じことを思っていたみたいだ。

「そうだな」

俺たちはエスカレーターの方に足を向かわせた。


屋上に出ると、
「すげーな、本格的だな」

ライブのセットかと見間違えるくらいの特設ステージに、俺は驚いた。

針井もこう言う場所にきて落ち着かないのか、右に左にと首を動かして周りをキョロキョロ。

その仕草はまるで小動物みたいだ。

「おっ、七緒じゃんか!」

後ろから聞こえた声に振り返ると、太だった。
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