ハリネズミの恋
「大丈夫か?」

俺が聞くと、針井は手で頭を押さえながら首を縦に振ってうなずいて答えた。

タケルの叫ぶような声と同時に、曲が終わった。

「イエーイ!」

観客はまだはしゃいでいる。

「いっぺん、ここ出るぞ?」

そう言った俺に針井はうなずいた。

俺は近くで待機していた係員を呼ぶと、事情を説明した。

係員は納得したと言うようにうなずくと、俺と針井を出口の方に案内してくれた。

デパートの中に入ると、
「大丈夫か?」

俺はもう1度針井に声をかけた。

「うん…」

針井はうなずいて答えた。
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