ハリネズミの恋
「ったく、誰だよペットボトルなんて投げたヤツは…」

と言うか、それ以前に物を投げるなと言う話である。

物を投げるくらいならお前が飛んでこい!、である。

毒づくように呟いた俺に、針井はまだ頭が痛いと言うように顔をしかめている。

「もう帰るか?」

そう聞いた俺に、針井は首を横に振った。

「頭が痛いなら無理しない方がいいぞ?

太たちには俺が事情を説明しておくから」

続けてそう言った俺に、
「少し、椅子に座ってもいいかな?」

針井は通路に置かれているベンチを指差した。

「いいけど…」

俺が返事したことを確認すると、針井はベンチに腰を下ろした。

俺も彼女の隣に腰を下ろした。
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