ハリネズミの恋
その場にいた全員が何事かと言うように、俺に視線を向けた。

「えっ…いやっ…」

この状況に1番驚いているのは俺自身だった。

「…七緒、どうかした?」

太が言いにくそうに俺に聞いてきた。

「その…ちょっと、なれなれしいんじゃないかって…。

俺と太はクラスメイトだけど、タケルと今井はクラスが違うから、その…」

俺は一体、何が言いたいのだろう?

だけど、タケルが針井のことをなれなれしく“ちゃん”づけで呼んだことにムカついたのは事実だ。

「…すまん」

どうやって言えばいいのかもうわからなくて、俺は謝ることしかできなかった。
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