ハリネズミの恋
「も、もう知らん!」

ヤケクソで叫んだ後、俺は立ちあがるとダンス室を飛び出した。

「おい、ナナ!

マーサは…」

「知らん!」

走っている途中でメグに会ったような気がするが、何を答えたのかは自分でもよくわからない。


連休明けの学校は、キツい以外何にも思い浮かばない。

気だるい空気が流れる教室。

そんな中でも針井は相も変わらず、自分の世界にひきこもって読書をしている。

何で飽きないんだろう?

「なーなーおちゃーん?」

猫なで声の主に視線を向けると、ニヤニヤと笑っている鬼――いや、悪魔がいた。
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